実体が?なこと ~学芸員~

学芸員という呼び名は、比較的多くの人に周知されるようになりました。では、“学芸員”がどのような仕事をしているかというと、それほど多くの人はご存じないに違いありません。

展示室内で、作品や来館者の安全のために監視をしているスタッフや、受付でチケットを扱うスタッフを学芸員であると思っている方もまだまだいらっしゃいます。

学芸員が来館者の方々と触れあうのは、ギャラリーツアーやオリエンテーション、解説会などに限られています。その他の時間は、ひたすら、次の展覧会やその次の展覧会、またその次の次の展覧会の準備をしていたり、何か作業をしていたり、さまざまな事務作業をしていたりと、黙々と地味に働いています。同じ美術館で働いている事務の人でさえ、学芸員の仕事について詳しくは知らない、ということもよくあります。何事も、積極的にわかろうとしないとわからないものですね。

絵画作品の鑑賞も同じことで、受け身で接するのと、積極的に頭をフル回転させて接するのとでは同じ一枚の絵画から伝わってくるものが大いに異なります。パウル・クレーは、「一枚の絵を鑑賞するには椅子が必要だ」と言いました。当館では、一点の作品に対して一脚の椅子をご用意できませんが、できる限りゆっくりしていただけるように展示室内に椅子を置いています。以前に見た作品でも、時間を経てみるとまた見方が変わっている場合もあり、不思議なものです。長~くひとつの作品と向き合っていただければと思います。   【D】

ちらかっていない日の研究室