今井朝路【その3】―川西英と今井朝路

日本画を修め、神戸で個展をしていた今井朝路が、洋画に転向するきっかけをつくったのは版画家の川西英でした。今井の日本画の個展を訪れた川西は、象徴的な主題を伝統的な日本画の技法で描いた作品に違和感を覚え、今井に洋画をすすめました。今井も、川西英の油彩画の展覧会に触発されるところがあり、ついに洋画を描くようになります。

こうしたことを通じて今井と川西は親しくなり、互いに行き来し、葉書をやりとりするようになりました。今井は、戦禍によりすべてを失いましたが、川西は今井からの便りを扉と表紙をつけた帖面に順に貼り付け、大切に保管していました(写真)。川西英は、竹久夢二とも交流があり、やはりその作品を大切に保管し、また作品が掲載された印刷物を貼り付けた手製の帖面を作っていました。なんと几帳面な美術家でしょう。

 

     

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