コレクションから~《淡路イザナギ神宮》―子供と大人の鑑賞方法の違い?

小学校からの団体鑑賞のご案内をしていると、何かと気づかされることがあります。今日は、コレクションの中から、小磯良平の油彩作品、《淡路イザナギ神宮》に関することがらをご紹介してみましょう。この作品は、子供たちが鑑賞プログラムの中で“描いてみたい”と思うお気に入りの絵として選ばれてきた根強い人気を持つ作品のひとつです。それにしても、なぜ、神社という古めかしい建物を描いたこの作品が大人気なのでしょう。

著作権の問題から作品の図版をここに掲載しませんが、「小磯良平作品選」に展示されていることが多いので、是非作品をご覧ください。代わりに、2011年の夏に撮影した現地の写真を掲載します。当然のことながら、写真よりも小磯さんが描いた絵画作品の方が、すっきりと画面が整理された美しい表現です。

あるとき、作品《淡路イザナギ神宮》について子供達にインタビューしてみると、

「橋の所の水に何か映っているのが本物みたいでいい」、「建物がいい」、あるいは「木とか空がいい」という意見を答えてくれました。描く際には、自分の気にいった箇所だけをクローズアップして画紙に写す子供達もいます。
大人達は、この作品が“淡路伊弉諾神宮”を描いたものであると認識して、頭の中でその歴史や謂われ、かつて現地に行った時のことなどを想い出して「了解」してしまうのでしょうか。この作品に特別に関心を示す人は少なく、じっくりと見ている大人をあまり見かけたことがありません。しかし、どうやら子供達はそうではないようです。淡路伊弉諾神宮を知らないので、「どこかの神社だね。」と思う程度であり、色彩や形、対象を描き出している技術の高さ、その結果表現された本物らしさなど、絵画を成立させている要素に関心を示し、純粋に楽しんでいるように見えます。

《淡路イザナギ神宮》を思い思いのスタイルで描いている子供達を見ていると、後年、様々な知識が増えた彼らが、素晴らしい“鑑賞者”になるのでは!?とうらやましく思います。大人の皆さんも、時には歴史的背景や意味を全く考えずに作品と向き合ってみられてはいかがでしょうか?新たな感覚が生まれ、鑑賞の世界が広がってくるかもしれません。 【D】